06/08/18 北海道ツーリング7日目

2019年4月27日サイクリング

8/18(金)曇りときどき小雨 61キロ
 
 「台風の影響で北海道は大雨」という天気予報に、覚悟して目覚めた朝。ぽつぽつと雨が降っている。


 今日こそは大雨に対する武装が必要と、靴カバーにゴアテックスの上下、バックパックはビニール袋に包んだ上に、カバーをかけた。これならば、どんな豪雨でもぬれないはずだ。
 今日はニセコまで行かねばならない。鉄道もないし、今回の旅行では、もっとも公共交通網が薄い地域だ。(というわけで、公共交通に頼らざるを得なかった今までの旅行では、洞爺→留寿都→ニセコは一度も行ったことのない場所だった。)留寿都までいけばニセコ行きの路線バスがあるので、どんな大雨でも留寿都までは行こうと決めた。距離にして10数キロ。標高300メートルアップ。洞爺湖の東岸を走っていく予定だったが、より距離の短い西岸を選択、このため、壮瞥町の道の駅「そうべつサムズ」はパスすることにした。
 これだけ覚悟して出発したのだが、なぜか出発するときには雨はやんでいた。空も明るくなってきたので、思い切って、ゴアテックスの上下はぬいでしまった。ただし、装着に時間のかかる靴カバーは、つけたままにする。

 国道を一本それ、湖畔の道道578号をはしる。天候が悪いので、車はほとんど走っていない。キャンプ場が点在していて、どこもそれなりに利用客がいた。「とうや水の駅」で一休み。ここから、留寿都への山上りが始まる。雨はまだふってこない。

 道道66号の旧道を選び、武四郎坂PAで一休み。ここでもまだ雨はふってこない。ほどなく国道230号に合流すると、札幌へ向かう車がぐっと増えた。路肩も狭く、ここも自転車にはあぶない道路だ。途中、車が畑に転落して仰向けにひっくり返っている事故に遭遇した。「安全運転」をしなければ、と改めて思う。

 空は雨が降るどころか徐々に明るくなり、羊蹄山も姿を現し、なかなかいい感じになってきた。うまくすれば、このまま雨にあわずニセコまで行ける予感がしてくる。天候の悪い今日、羊蹄山の全景の写真が撮れるなんて思ってもいなかった。

 留寿都が近づくにつれ、食堂や工場に「でんぷん」の文字を目にするようになる。追い越していったトラックの荷台に無造作にジャガイモが積んであるな(出荷用にしては大雑把な)、と思っていたら、このじゃがいも、でんぷんの材料だった。沿道の工場で、トラックの荷台から、じゃがいもがザラザラとおろされていた。留寿都はでんぷんの産地なのだ。
 というわけで、留寿都の道の駅「230ルスツ」で、早お昼で「でんぷんうどん」を一杯頼み、二人で半分ずつ食べた。でんぷん麺に、じゃがいも・かぼじゃをでんぷんで固めた具が乗っていた。

 国道230号をそれ、真狩・ニセコへ向かう道道66号へ曲がると、車の量がまたぐっと減った。
 留寿都の町の標高が370メートルぐらい、ここから真狩に向けては下り坂で快適だった。ただし羊蹄山は霧の中に消えてしまい、見えなくなった。真狩村は花の栽培の盛んな村で、村の始まりは「ユリ街道」。黄色のユリが道路の端にずらっと咲いていて、大変美しかった。

 道の駅「まっかり」で休憩。ここで新じゃが「北あかり」10キロを予約し、家に送付の手続きをした。じゃがいもは、少し生育が遅れていて、来週収穫予定とのことだった。道路から見えるじゃがいも畑はどこも収穫間近に見え、「このうちのどれかがうちに来るのね」と楽しみ眺めた。
 このあたりの田園風景はとてもよかった。じゃがいも畑、かぼちゃ畑、花畑と、畑が美しいのは美瑛の丘だけではないと思った。(なぜ美瑛ばかりが有名に?)

 真狩村とニセコ町の境あたりで雨が落ち始めるが、強くならないうちにやんでしまった。ニセコの町の手前に、道の駅「ニセコビュープラザ」で一休み。昼食としてうどんを半分しか食べていないので、ここで軽食をとることにする。「ニセコビュープラザ」はたくさんの観光客でにぎわっており、ファーストフードが充実している。じゃがいもまん、あげじゃが、フランクフルトという地元の食材を使ったものを食べた。
 さらに、まだ空が持ちそうなので、ニセコ駅に立ち寄った。駅前に日帰り温泉「綺羅乃湯」があるが、ここには三年前、拙著「

トレイン探偵北斗

」の取材旅行の際に立ち寄っているので、よく覚えている。このとき「何もない駅前だな」と思ったのだが、町はここから5,60メートルのぼった丘の上にあった。きれいに整備された町で、ニセコは「北の軽井沢」とのことだが、こちらは「そうかも」と思った。

 今日の宿はニセコの昆布温泉。ニセコの町からら200メートル上らなくてはならない。ちょうどニセコ駅から長万部行きの列車が発車するところだったので、ニセコ大橋から駅とディーゼル車の写真を撮る。上下線とも一日七、八本しかないローカル線の風情だが、れっきとした「函館本線」である。函館から札幌へ向かう特急列車はすべて室蘭経由なので、ニセコを経由するこの「本線」には、特急列車も急行列車も走らないのだが。

 昆布温泉へと上り坂をゆるゆると走っていく。道の両側には、ペンションやおしゃれなレストラン、乗馬クラブが点在している。昆布温泉まで残り3キロほどというところで、またぽつぽつ雨が降り始めたが、あとは宿に到着するだけなので、そのまま走り続けた。

 結局、たいした雨に降られることはほとんどないまま、無事に3時過ぎに宿に到着した。到着してまもなく雨が強くなったので、タイミングがよかった。
 今日の宿はお手ごろ価格の古い温泉宿「
ニセコグランドホテル
」。「ホテル」というが、部屋・食事とも普通の旅館である。(和室をお願いしたせいもあるが。洋室はもうちょっと高級らしい)民宿よりちょっと高めの値段で広い温泉に入れるので、非常にコストパフォーマンスがよい。そのためか、宿泊客がたくさんいた。混浴露天風呂はとても広く、女性には「露天風呂用浴衣」を貸してくれるので、安心して入ることができた。
 夜、雨足がさらに強くなり、このあたりにも「大雨」がやってきたようだ。