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05/08/14 道北ツーリング2日目

8/14(日) 曇 88km
 朝7:45に豊富温泉を出発。
 豊富駅に出ると、ちょうど、稚内駅発札幌駅行きの「スーパー宗谷」が来るところだった。キハ261系、カーブをものともせずにカッ飛んで走る特急気動車だ。思わず熱心に撮影してしまう。
 その後、国道40号を1キロ南へ向かい、豊富大橋の先のセイコーマート(北海道にのみ存在する、北海道では最もシェアのあるコンビニ)で、水(2リットル200円)と防虫スプレーを購入。(この防虫スプレーは、この後あらゆる場面で活躍した。夏の北海道僻地を旅する場合、防虫スプレーは必須です) 道道444号でサロベツ原野と稚咲内めざす。

 この道は、新婚旅行の時も走った。ただし、レンタサイクルのママチャリだったが。当時は晴天で風もなく、苦もなく走ったように記憶している。今日は曇りに向かい風で、BD-1であっても多少きつい。

 サロベツ原野は変わらず存在していた。ただし、年々花は減っているとのこと。前回は時期が早すぎてエゾカンゾウは咲いておらず、今日は時期が遅すぎてエゾカンゾウは枯れていた。次回こそは、エゾカンゾウの時期に来てみたいものだ。稚咲内港は、記憶と違って整備された港になっていた。

 ここからは、海沿いの道道106号(旧909号)を、北の果て、稚内を目指して走る。最果ての地を目指す車やバイクの姿が目立つが、何台か続いて走っていったかと思うと、ぽかーんと車の波が途絶えてしまう。お盆の超繁忙期だが、道北を旅する人は少ないらしい。

 曇り空のもと、海の向こうに見えるはずの利尻富士(利尻島)は、全く見えずにすごく残念。だが、平らで追い風のこの道は、めちゃめちゃ快適だった。スピードメーターは、平均時速23キロをさしたまま。平地を走る場合は、通常はせいぜい17キロぐらい。ありえない速さだ。風に乗るとこうも楽なものか。利尻富士は見えなかったが、日本海と原野の美しさは堪能できた。

 何もない原野を走り続けて、浜勇知にある店「こうほねの家」に、予定より一時間も早く十一時時過ぎに到着。ここで昼食をとる予定だったが、ガイドブックに載っていた売店はなくなっていて、無料の休憩所と化していた。ううむ、こういう事態もあるから僻地を走るときは非常食は必須ね、と再認識。浜勇知から5キロ先の抜海岬へ行ったら、きっと店があるだろうと期待をかけ、走り続けることにする。

 抜海で、ただ一軒の食堂を発見。ライダーハウスを併設した「遊心館」である。この店がなかったら、さらに15,6キロ、稚内まで走らなくてはならないところだった。たこラーメンとほっきカレーを注文。ほっき貝は取れたてのフライとなっており、少量ながら美味であった。抜海岬にはあざらしが生息しているとのことだったが、夏だからか、あざらしはいなかった。

 抜海岬を後にしてからすぐに道道を右折し、宗谷本線の抜海駅へ立ち寄る。まわりに店も民家もないにもかかわらず、無人駅はきれいに掃除され、花壇には花が咲いていた。ただし、いっせいに虫がよってきて、足のあちこちを刺されたけれど。(ここで防虫スプレーが大活躍)

 稚内市街手前で、市街へショートカットする道道106号と分岐し、ノシャップ岬へ通じる道道254号を行く。通称「かえるロード」だそうで、廃棄ブイを利用したかえるの置物が道端にたくさん置かれている。バス停名は「○○宅前」が続く。そして、ノシャップ岬の手前、日本最北の温泉、「稚内温泉童夢」に13時15分に到着。なんと、予定よりも二時間も早い。

 この「童夢」ができるまでは、豊富温泉が日本最北の温泉だった。ただし、豊富温泉が「温泉街」であるのに対し、「童夢」はよくある最近のタイプの日帰り温泉なので、やはり「日本最北」の文字は、豊富温泉にゆずってあげたい気がする。お風呂は、露天風呂にジャグジーに打たせ湯にミストサウナ。設備はよく整っている。露天風呂にいたおばちゃんによると「今日はすいている。昨日とおとといは混んでいた」とのこと。このおばちゃん、毎日来ているのかな? ちなみに、一般料金は600円だが、市内老人は100円。近くの団地住民は370円となっていた。また、ロシア人がよく来るのか、館内の案内は日本語にロシア語が併記されていた。英語でも中国でもハングルでもなく、ロシア語なのだ!

 「童夢」でゆっくり一時間ほど過ごし、ノシャップ岬へ。ここもどんより曇っていて、利尻も礼文も宗谷岬も見えなかった。ツーリングオフでもあったのか、岬には中年ライダーが多数、集まっていた。観光バスも次々と押し寄せ、周囲にはいくら丼やうに丼の店が並び、とてもにぎやかだった。

 ノシャップ岬から稚内市内までは数キロ。町並みも「僻地」から「市街地」へ姿を変えていく。北海道遺産の「稚内港北防波堤ドーム」で自転車を止める。稚内へ来るのは三度目だが、ドームを見るのは初めてだった。離島へのフェリーターミナル前にあるドーム。ゆるやかなカーブを描いたアーチに何十本も続く柱は、異国の回廊を思わせる。アーチの下は格好の「キャンプ場」で、明日の早朝の離島行きフェリーに乗るライダーやチャリダーが、ここで一晩を過ごすらしい。夜になってから、ちらっとのぞいたところ、ずらっとテントが並んでいた。おととい、稚内空港で見かけたリカンベントもいて、「にやり」と笑いをもらしてしまった。

 16時過ぎに、フェリーターミナル近くのK旅館に到着。北海道にしてはめずらしく無愛想なご主人で、自転車を置く場所にしても「もう少し遅くならないと、どこにおいたらいいか決められない」とのこと。大事なBD-1、願わくは外ではなく、玄関先に置きたいのだけれどここでは無理ね……とあきらめる。荷物を置いて、それでもまだ夕食まで時間が余ってしまったので、稚内公園へ行くことにする。

 稚内公園は市内の小高い丘の上にある。160メートルを一気にかけのぼる。さきほど「童夢」でお風呂にはいったばかりなのに、ここで汗ずくずくになる。公園頂上にある開拓百年記念塔は入場料四百円かかるが、せっかくだからと入館。曇り空のもと、ここからの景色も「ぼんやり」だった。

 記念塔を降り、稚内市のシンボル、氷雪の門へ。もう18時近いというのに、観光バスいっぱいだった。「利尻・礼文・宗谷三日間」など、「こりゃ、電撃ツアーだなぁ」というものばかりだった。

 宿にもどり、自転車を宿裏に置き、夕食にでかける。今日は素泊まりなので、市内の居酒屋へ。けれどもこの日はお盆にプラス日曜日。町の人たちが行くような居酒屋はすべてお休みで、開いているのは観光客向けの店ばかり。有名人の色紙が壁にはられた居酒屋での夕食となった。「牛乳粥」はとてもおいしかったのだけれど……とっても高かった……町の中心の公園では盆踊り大会をやっていて、食べ足りないおなかを、屋台の焼きそばや焼き鳥で満たしたのであった。

 この日は第一回目の荷物交換日。新しい衣類を取り出し、汚れた衣類を自宅へ送り返した。


居酒屋のサイン帳に記入する

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