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05/08/13 道北ツーリング1日目

8/13(土) 晴れ時々曇り 51km
 今年の夏休みは、昨年、一昨年に続き、北海道へのツーリングと決め、五月下旬には早々に、道北を500キロほど走る計画をたてた。
 稚内空港まで一気に飛んで、いったん豊富温泉に南下。日本海沿いに北上して稚内に戻った後、利尻島・礼文島をまわる。再度、稚内に戻り、日本最北端の宗谷岬を目指し、天北線跡をたどりながら、浜頓別から音威子府まで走るというものだ。
 北海道への旅行は、通算すると18回目の私。ほぼすべての地に行っているが、利尻・礼文は初めて。また、かつて訪ねたところのある地も、自転車で走るとなると別の表情を味わえるものだ。というわけで、今年も何より楽しい夏休みである。

 朝7時に家を出発。晴天の続いていた関東地方南部だが、この日は小雨が降っていた。いつもの輪行の場合、2.5キロほど離れたJR藤沢駅もしくは辻堂駅まで走るが、雨ということで、最寄りの小田急本鵠沼駅へ出る。わずか800メートルの走行。

 電車を乗り継いで8時半ごろに羽田空港に到着。昨年はテロ対策が厳重で、自転車に積んだ工具一つ一つまで確認されたが、今年はあっさりと自転車を預けることができた。

 朝ごはんは家で食べていたが、なんとなくお腹がすいていたことと、また、今日のお昼は超僻地を走る予定だったので、お弁当を買うことにする。最近有名な「駅弁」ならぬ「空弁」。ところが、お弁当売り場をなかなか見つけられず、うろうろと空港(ANAの第二ターミナル)を歩いてしまった。地下の店まで降りて、空弁「諸国漫遊弁当」と「ヒレカツ弁当」を買った。(あとでわかったが、チェックインの一階の隅に、ちゃんと空弁コーナーがあったのだ。)


お盆の繁忙期のため、思ったとおり、飛行機の離陸が遅れ、稚内空港へは、予定より20分遅れで到着した。自転車はベルトコンベアーには乗せられず、手渡しである。この日は、7台の自転車が預けられていた。銀色のBD-1もいて「おおっ」と思う。BikeFridayリカンベントの特異な姿には、「おおおおおおっ」と思う。

 自転車を組み立て、はずしていたバックミラーなどを装着し、12:10に空港を出発。空港の周りには何もない。民家も店も全く見当たらない。「ああ、道北だなあ」と実感。


出発

 稚内カントリークラブの横にあるメグマ沼を眺めてから、農道を経由し、道道121号へと入る。この道は、天北線跡へと通じてい。


メグマ沼

 稚内からいきなり南下するマイナールートなので、他の自転車の姿は、このあと、全く見ることがなかった。おそらく、宗谷岬をめざしたか(リカンベントのおにいさんは、日本最南端の波照間島のTシャツを着ていたので、宗谷岬へ行ったに違いないと推測)、もしくは稚内市(利尻・礼文)をめざしたのだろう。

 走り始めて、間もなく恵北の集落へ。恵北駅跡を発見する。ちょっとした公園になっていた。ここで羽田空港で買ったお弁当を食べるとよかったのだが、すぐ横の家の飼い犬がワンワンほえるので敬遠。ちなみに、恵北にはスーパーがあり、また、飲食店「さるぼぼ」があったので、お弁当を買わずとも、昼食をとることは可能であった。


恵北駅跡

 とはいえ、手元にはお弁当があるので、道路わきの広場で昼食。かつて、何か建物があったらしい。空弁「諸国漫遊弁当」は、非常においしかった。

 この後、樺岡・沼川・豊別・上修徳と、小さな集落を次々と通過する。樺岡と沼川は、天北線の駅があった集落だ。樺岡には駅名標が(駅のあった場所から国道沿いに移したらしい)、沼川駅跡には記念碑が建てられていた。沼川駅跡前の家の窓には、鉄道注意標識(大雪注意など)が飾られていた。旧国鉄職員の家なのだろうか。


樺岡


一丘越える


沼川駅跡

 それぞれの集落には、小中学校の建物があったのだが、どれもすべて廃校になっていた。過疎化が進む中、小中学校が統廃合され、数年前に沼川に、とても大きくて立派な「天北小中学校」が建てられたのだ。ただし、「天北小中学校」の前のバス停の名は「沼川学校前」。元は沼川小中学校だった?


アップダウン増える

 廃校となっても、どの建物もきれいに保存されていて、緊急避難所や、集会場になっていた。それでも「廃校」という事実は悲しい。上修徳小中学校跡が、特に悲しかった。周囲は広大な牧場のみ。通っていた児童・生徒も、すべて牧場の子どもたちだったのだろう。今も道道わきにあった「上修徳小中学校」のシンボルマークは、牛と子どもたちを模ったものだったし、また、ボウボウの草の中に埋もれかけていた像は、牛の子ども(片耳が欠けていた)と人間の子どもが並んだものだった。台座には「大地の子」の文字が刻まれていた。

 話は前後するが、道道121号は、沼川までは天北線跡のすぐそばを走っている。だが旧天北線は、沼川から先、鬼士別まで、道道121号を離れ、道道136号に沿って山を越えてオホーツク海へぬけていた。沼川の次の曲淵駅から小石駅までの山間路線17キロは、駅無し長距離区間として有名だった。

 私が天北線に初めて乗ったのは、1986年11月。21歳の時だった。すでに、天北線の廃止(国鉄第2次廃止対象路線・1989年に廃止)も、国鉄分割民営化も決まっていた。早朝に稚内を出た天北線の列車に乗った私に、曲淵駅からの無駅区間で、車掌さんが話しかけてきた。「今、この汽車に乗っているのはあなた一人ですよ」

 それから車掌さんは、「たまーに、ふだん絶対だれも乗ってこない無人駅から、旅人が乗ってくることがあるんですが、そういうときは、幽霊なんじゃないかと足を確認するんです」といった笑える話や、「民営化されて異動になったときのことが心配です」「車内で『奈良駅まで』なんていわれることがあるんですが、都会ではどうなんでしょう」などといった笑えない会話をしたのだった。あのときの車掌さんは、今はもう定年になっただろうか。余談だが、このときの旅で乗った「羽幌線」「名寄本線」「湧網線」「広尾線」も、すべて、今はもうない。

 さて、かような超僻地のため、店はもちろん、自動販売機もまったく見当たらない。状況を見越して水のペットボトルを買っておいてはいたのだが、おりからの晴天・強い日差しにがぶがぶ飲んだ結果「水不足」に。食べ物はなくても走れるが、水がなかったら走ることはできない。緊急事態にそなえて、旧上修徳小中学校の校舎入口にあった水道水を、カラのペットボトルに入れる。

 ここでおさらい。稚内空港から道道121号を下って豊富温泉へ抜けるルート。

 飲食店は恵北に1軒、沼川に1軒。

 自動販売機は恵北と沼川のみ。食糧補給、水分補給にはご注意ください。

 豊富町へ入るところで、町名標識の写真をパチリ。道路標識にイラストで描かれている「豊富町」は、とってもラブリーだ。牛にエゾカンゾウに温泉に利尻富士。豊富町のすべてを端的に表現している。しかも入浴している牛のかわいいこと! 今のところ、道内で見た町名標識の中では、わたくし的にダントツトップである。それに比べて「稚内市」の、なんとオーソドックスなことよ。


豊富町へ

 広大な牧場の続く道道121号、なんといってもその広さを感じるのは「大規模草地牧場」である。公営の牧場だ。道道を右折してひと丘越えると、広い! とにかく広い!! めちゃめちゃ広い!!! 放牧されている牛が、点々のゴミに見えるほど広いのだ。

 ここらあたりを走る自転車などほとんどないのか、牛に近寄ると、ものめずらしげにこちらに近づいてくる。さらに、道路にそってつけらえた柵ぎりぎりのところを、のっしのっしと自転車を追いかけるように走ってついてくる。牛が走る様は、なかなか迫力があった。


自転車を追いかける牛

 気がつくと、体のまわりに虫がまとわりついていた。特に、足をむき出しにしている茅沼氏のまわりには、何重にもなってブンブン飛んでいる。ううむ、これは、虫除けスプレーが必要だな、明日、どこかで入手しようと思う。

 大規模草地にはレストハウスが設置されている。ただし、営業時間は16時まで。私たちがレストハウスについたのは16時5分。ちょうど、レストハウスの駐車場から、おばちゃん二人が乗った小型車が出て行ったところだった。従業員だったらしい。レストハウスには「本日休業」のつれない看板が。あと10分早ければ、100円で牛乳飲み放題だったのに!


奥の建物がレストハウス

 レストハウスの庭には「豊富町」の碑があった。さきほど書いた「牛にエゾカンゾウに温泉に利尻富士」なものである。う~ん、やっぱりとってもかわいい!!

 レストハウスから2キロほど丘を走りおりると道道84号と交差する。浜頓別と豊富を結ぶ道である。道道84号を右折し、数キロ走ると、突然、温泉街に行き当たる。ここが、本日の宿、豊富温泉である。時刻は16時半。予定より1時間も早い到着であった。

 豊富温泉に来るのは、今回が三回目だ。一回目は1988年。二回目は1992年。このときは新婚旅行だったので、豊富温泉の中では最高級の「ホテル豊富」に泊まった。今回はフツーの旅行なので、手ごろな価格の
「川島旅館」
に。豊富温泉の中では一番の老舗だ。

 さすが老舗、お風呂には歴史を感じた。料理はおいしく手ごろな量で、満足な旅館だった。ついでに、自転車を玄関先に置かせてくれて感謝、感謝である。

 ちなみに豊富温泉、「石油風呂」と言われるのも納得の、茶褐色の石油くさい温泉である。でもこのお風呂に入るとお肌ツルツル、指輪などの金属もツルツルピカピカになる。道内では川湯温泉についでいい温泉だなあ、また来たいなあと、いつも思ってしまうのであった。


町営ふれあいセンター


川島旅館


玄関に入れてもらう

呼人

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