03.8.10(日)北竜町・美瑛
■16/7/3新規追加
文:高森千穂
北竜町のひまわり畑。《栽培用》ひまわり畑の隅でチーズ!
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今年の夏の旅行は北海道旅行。しかも、高森&茅沼の愛車・BD-1(自転車)で北海道の大地を走ろう!ということで、綿密に計画をたてて、苦労して仙台→苫小牧行きのフェリーもとって(お盆前の日程だったので、船はめちゃ混み)、ようやく上陸した北海道。札幌のビジネスホテル(限りなくウィークリーマンションに近い)に4泊、函館の湯の川温泉に1泊の予定だった。
だがしかし、今年の夏は異常に天気が悪い。その上、台風までやってきた。しかも北海道へ上陸! 1日目は天気を気にしつつ札幌市内をざっと40キロほど走り、2日目は大雨で自転車には全く乗れず、ようやく3日目。台風10号も去り、札幌は朝から薄日がさしていた。今日からやっと自転車に乗れる!ということで、7時前のJR特急・スーパーホワイトアローで滝川に向かう。今日の予定は、北竜町のひまわり畑と、美瑛の野菜畑を見ること。自転車を折りたたんで、電車でピンポイントで移動する。
しかし、札幌を離れて北上するにつれ、上空には厚い雲が垂れ込め、滝川駅を自転車で出発した8時過ぎから、ぽつぽつと雨が降り出す。それでも予定を変えることなく、カッパを着て自転車をこぐ。時折かなり激しく降るが、基本は小雨程度。それでも「うーん、なんでこんな雨の中、自転車で走っているのかな」と疑問が頭の中をよぎる。でも、走るしかない。ここで一つ発見。自転車用のヘルメット、これは非常によくできていて、充分に雨をしのげる。長めのツバで雨粒は顔にあたらないし、蒸れないように穴があいているにもかかわらず頭はぬれない。どういうわけか、しずくはヘルメットの上部を伝わって下に流れるようになっているのだ。
25キロほど走ったところで、ようやく目指す北竜町のひまわり畑に到着! 雨もやんでいる。北竜町は、町おこしとして「ひまわり」を植えている。だから、その作付け面積は日本一とのこと。これが日本一のひまわり畑なのね!と、まずは感動。 けれども「満開」とのことだが、実際には満開を少しすぎていた。しかも曇天なので、思ったよりはぱっとしない。でもやっぱりスケールが違う。見渡す限りひまわり! ということで、BD-1の記念撮影。
「北竜町」のシンボルはひまわりと龍→
ひととおり、観光用ひまわり畑を見学して、少し時間があったので、数キロ先の道の駅「サンフラワー北竜」へ。ここは道の駅とはいえ、宿泊施設もあるし、日帰り温泉もある。西洋風の建物の立派なものだった。だが、私たちの目をひいたのは、道の駅の1キロほど奥にある畑。一部分だけが異常にまっ黄色で鮮やかなのだ。今さっき見たばかりの観光用ひまわり畑とは、その鮮やかさがまったく違う。いったい何の花を栽培しているのだろう?
近づいてみてびっくり。こちらもまたひまわり畑だったのだ。ただし、観光用ではなく栽培用。花びらが大きく色も濃いので、遠くから見てまったく違うものに見えたのだ。花束などに使用されるものではないだろうか。こんなに美しいひまわりは初めて見た。しかもこんなにたくさん! このひまわり畑には大いに感動。うう、自転車に乗っていてよかった。自転車がなければこの畑に来ることはできなかったよ……雨の中走ってきた甲斐がありました。
このあとさらに25キロぐらい走り、深川の駅へ出る。深川までの道は実に単調。平らで広大の畑の間に通されたまっすぐな道路をひたすら走るだけ。なんだか走っても走ってもちっとも進んでいないような気がする。でも、ゆっくり走ると、乗るつもりの特急列車に間に合わなくなる。今日はこの後、美瑛に出て、さらに富良野まで走る予定なのだ。
なんとか11時20分頃深川に到着。自転車を折りたたみ、11時40分の特急ライラックに乗り込む。12時に旭川着。駅のホームで駅そばを食べて、継子ホーム(旭川駅では、富良野線だけ、異常に離れた場所にホームがあるのです)まで、重い自転車を引きずっていく。美瑛行きの富良野線は単行列車。観光地の富良野へ向かう列車として、かつてはもっと観光客が乗っていたはずなのに、最近では本数も減り、編成も減っているようだ。
駅舎はもともとこんなふうにおしゃれだった
駅前もおしゃれに変身していました
……と思っていたら、美瑛駅について仰天。駅前が思い切りひらけている! しかも観光客がわんさかいる!! 一瞬「ここは清里か?」と思うような風景である。前回美瑛をおとずれたのは11年前。そのころは、普通の田舎の駅だったのに……観光客も少なかったのに……実は、美瑛は、いまや北海道を代表する観光地なのだ。「北海道らしい風景」として一番にあげられるのは美瑛なのだそうで、日本人だけでなく外人観光客もたくさんおとずれるのだとか。実際、駅前をうろうろしていた人たちは、中国語をしゃべっていた。駅の案内も、日本語・英語・中国語・ハングル語、4ヶ国語がそろっている。
美瑛駅に着いたころから、徐々に日が差し始め、なかなかいい感じである。さっそく自転車を組み立て、富良野へ向かう国道237号を走り始める。しかし、今書いたように、いまや「一大観光地」の美瑛、車の通りが激しい。車の多い道は嫌いなので、途中からわき道にそれ、「共和」という地区を走る。
この道は大正解。ほとんど車の通りもないし、眺めはいいし、「北海道らしい」という風景を満喫。しかし、沿道の家には「勝手に庭に入らないように」「道路に車を止めないように、農作業の邪魔になります」などと書かれた立て札がある。そうですよね、住民のみなさんにとっては、ここは「生活の場」なんですよね……邪魔な観光客ですみません。
さて、私たちの自転車BD-1は小径タイヤで幅も細く、本来であれば「街走り」「散歩用」で、長距離の旅行には適していない。起伏にも弱いのだがそこは気力でカバーできるとして、最も弱いのはダート道。舗装道路以外は走るのが非常に困難である。というわけで、わき道ばかり走るわけにもいかず、また国道へ戻る。この後は国道や道道沿いに走る。沿道には観光農園があり、人工的な(いえ、栽培用の畑ももちろん《人工》なんですが)美しさを誇っていた。
上富良野 かんのファーム
中富良野 ファーム富田
ここは上富良野駅。もともと「ラベンダー畑」といえば、ここ、上富良野の日の出公園のことだった。今の時期、すでにラベンダーは終わっているせいか(一部の農園ではまだ植えられていたが)、上富良野はひっそりとしている。美瑛の賑わいから想像して、上富良野も観光地化されているかと思っていたのだが……むむ、もしかして、観光の波に乗り遅れてしまったのか?上富良野。
余談だが、私が茅沼氏と初めて出会ったのは、ここ上富良野駅だった。1987年8月3日のことである。16年前には、まさか自分の自転車でここにやってくるなんて、全く想像できなかった。いや、それ以前に、のちに茅沼氏と結婚するなんて当時は知る由もなく、全くもって人生わからないものである。せっかくなので記念撮影。茅沼氏に「あなたも写真撮る?」と聞いたけれど「べつにいい」とのこと。まあ、16年もたてば(結婚してからも11年が経過)、そんなものよね……。
これは富良野駅近くのひまわり畑。北竜町に行かなくても、ひまわり畑はあちこちにあったのね、と思ってしまった。こちらも栽培用なので鮮やかで美しい。このあたりから向かい風になり、また道道はまーっすぐでまたもや飽き気味。だらだら走っていたら「電車に乗り遅れるから早く走れ」と茅沼氏にしかられる(-_-;; 北海道は列車の本数が少ないため、時間を気にしながら走らなくてはならないところが辛いところ。もちろん、すべて自力で走るつもりならば、そんな心配はいらないのだけれど、まだそこまでは走れない。スピードアップして、富良野駅まで走る。
おかげで、無事に、乗る予定の「フラノラベンダーエクスプレス」出発15分前に無事に駅に到着。ばたばたと自転車をたたみ、列車に乗りこむ。
そもそもは冬のスキーリゾート列車。
でも夏なので「フラノラベンダーエクスプレス」
展望席。
フラノエクスプレスは、茅沼氏がどうがんばったのかしらないけれど、「展望席」の指定席を取っていてくれた。ううう、ありがとう。うれしかったです。ただし、最後尾だったけど。リゾートエクスプレスなので、非常にながめがいい。
夕方になって、すっかり空も晴れ、きれいな夕焼けが眺められた。明日こそは晴れるかな、と期待する私。富良野から2時間で札幌に着いた。
結局この日はトータル90キロぐらい走った。「よく走りました」ということで、夕食はサッポロビール園でジンギスカン食べ放題、ビール飲み放題へ出かける。サッポロビール園の自転車置き場には、ツーリングの途中らしい、寝袋がくくりつけられた自転車を何台か見かけた。宿泊費を浮かしても、ビール園には来るんだなあ、やはり一度はここでジンギスカンを食べなくては北海道に来た感じがしないのよね、きっと、と納得するのであった。