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11/08/14 北海道ツーリング1日目 札幌-浜益

8/14(日) 曇りのち雨 新札幌駅…ほしみ駅-石狩川河口-厚田-浜益温泉-浜益 83km ルート図

(文:高森千穂)
 夏休みが今年もやってきた。
 以前は初日(土曜日)からばりばり80キロ走ったりしたものだが、最近は、平日の仕事でぐったりなので、無理をしない旅程を組むことにした。
 土曜日は北海道上陸のみを目的とし、昼下がりの飛行機で、まずは千歳空港へ向かう。予定外にポケモンジェット、うかれたピカチュウのイラストつきの飛行機だった。
 千歳空港から、JRで新札幌駅へ行き、駅直結のホテルに宿泊した。改札を抜ける=ホテルの入口で、この便利さに、お気に入りの宿になりそうである。
 札幌を訪れるのは8年ぶり、大通り公園のビアガーデンでビールを楽しんだ。前夜祭気分で、こういう旅程もいいものだと思った。ただし、天気が「翌日から下り坂」というところが気になったが。


 ウィークデーの疲れもすっかりとれた翌朝。
 前夜にスーパーで買ったおにぎりやサンドウィッチを食べ、7時過ぎに新札幌駅から電車に乗って石狩湾西側のほしみ駅へ向かう。
 ほしみ駅は札幌郊外の駅で、駅の周りにはなにもない。住宅街を抜け、石狩港へ向かって倉庫街を走る。これといった特徴のない倉庫街とまっすぐな道は退屈。しかも、石狩市に入った9時過ぎから小雨がぱらぱら降り始める。それでも時々薄日がさしたりと、ぬれるほどではない。雨に備えた足カバーと上着が暑い。



 石狩河口橋を渡り、石狩川河口に立ち寄った後は、国道231号で淡々と北上する。国道はかなりの交通量。「なんで?」と思いながら走っていたが、その謎はすぐに解ける。旧厚田村には巨大な霊園がいくつかあって、札幌市内からのお盆の墓参りだったのだ。札幌市民の墓地はここに集められているのだろうか? 霊園を過ぎると、車はぐっと減った。



 小高い丘を越えると海が見えた。旧厚田村の望来(もうらい)の集落だ。北海道の海辺の町の雰囲気がよく出ている。このあたりは鉄道網がないため初めて訪れる地だ。「望来(もうらい)」=「望みが来る」=「希望がかなう」という名前がいい。望来の集落を抜けると、数十メートルのアップダウンが続くようになる。



 11時半に厚田市街に到着。少し早めの昼食にすることにした。市街の食堂でラーメンを食べる。「浜ラーメン」という海鮮塩ラーメンは、とても豪華だった。醤油ラーメンは濃口のスープで、北海道ラーメンの味付けだ。どちらも美味。

 午後は雨が強くなりそうということで、昼食の後、完全雨装備をする。午前中に比べ少し気温が低くなったのが幸いだ。
 厚田の市街から先は、断崖絶壁の厳しい地形に変貌していく。新道になり、海岸線からかなりの高度のある国道には、長いトンネルが続く。滝の沢トンネル、太島内トンネルを抜けると、「濃昼(ごきびる)」集落への道が、海へ向かって道が延びていた。「ごきびる」は、難読地名だ。





 続く送毛トンネルは、峠越えの旧道を行くことも可能だったが、小雨の降る天候に素直に新道のトンネルで進むことにする。国道沿いに集落はほとんどなく、高度はじわじわと上がり200メートルまで登ると峠だ。



 峠を越えると本格的な雨となり、200メートルをあっというまに下ると、旧浜益村の毘砂別集落だ。まだ14時過ぎだったので、4キロ内陸に入った浜益温泉に寄ることにした。温泉に到着したときには、雨は相当強く降っていたので、小降りなるまでしばらく温泉でのんびり過ごすことにする。
 浜益温泉は、硫黄臭の強い温泉で源泉かけ流し、泉質はかなりいい。広い露天風呂には洗い場もあり、札幌からわざわざ入湯しに来る客もいるとか。普段は有料の大広間も、お盆の時期のせいか開放されており、テレビは高校野球ではなくファイターズ戦を放映していた。北海道民は、とにかくファイターズが大好きなのだ。
 二時間近くだらだら過ごしたあと、雨が少しおさまったところで出発。まもなく雨は小降りとなり、うっすらと日も差してきた。


 旧浜益村の川下地区は、海岸がキャンプ場となっており、テントがずらりと並んでいる。旧村の中心地で店やコンビニもあって、ここらあたりの民宿に泊まりたかったのだが、海水浴客が多いせいか、予約がとれなかった。2キロ先の浜益地区の旅館「浜益荘」をとったが、こちらは泊まり客は私たち二人しかいなかった。夕食は豪華な海鮮料理。一泊二食6500円はお得である。



 旅館について、まもなく大雨となった。台風のような集中豪雨である。TVでも、石狩地方に警報が出ている。旅館の前の斜面を流れる幅2メートル程の小川は、あっというまに濁流に変貌し、ゴウゴウと流れていく。巻き込まれたら、ひとたまりもないだろう。
 遠くからは消防車のサイレンも聞こえてきて大丈夫なのかな? 心配で、宿の窓から小川を見つめ続けた。

呼人

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