08/08/15 北海道ツーリング7日目

2018年3月20日サイクリング

8/15(金) 紋別-コムケ湖-上湧別-遠軽 曇後雨 58km 地図
(文:千穂 補足:呼人)
 昨夜は雨が降っていた。朝七時に起きた時には、道路はしっとりと濡れていて、街中には霧がたちこめている。昨日は少しだけ雨にあたったけど、今日は避けられない模様。
 今朝はゆっくりの出発。というのは、宿から3キロほどの道の駅が9時開館だからだ。しまださん・ロボさんたちも、ふだんは8時半ころ出発だというので、それにも合わせた。
 今朝も人工温泉で朝風呂を浴びた後、朝食とする。バイキングは異常に豪華で驚いた。朝からホタテの刺身やおこっぺヨーグルト、じゃがいものビシソワーズなどをいただく。昼食並みの量を食べてしまった。
 ロビーでしまださんたちと合流し、出発の準備をする。もやった空気は思ったよりも冷たくなく、ゴアテックスの上着を着るとちょっと暑く、けれども脱ぐと寒い、という微妙な感じである。

 路面はだいぶ乾いてきて、雨もしばらくは大丈夫みたいだ。まず海に向かい、ホテルのすぐ近くにある大きな紋別港をぐるっと回る(停泊していたロシア船の船員と、ロボさんは挨拶をしたそうです)。沖にはオホーツクタワーが霧雨に霞んでいる。タワーの入り口となるガリヤ地区(オホーツクとっかりセンター「ゴマちゃんランド」
など観光地にもなっているが)へ向かう。

 道の駅をいったん通り過ぎ、ガリヤ地区の南端にある、紋別名物の「カニの爪の巨大フィギュア」に寄った。けれども、海辺でキャンプする車に周りを取り囲まれており、あまり写真スポットとしてはふさわしくなかった。うーん、こんなところに車を止めるな!と言いたい。道の駅の海側の公園にある斬新なデザインのカニの爪(もしかしたらヨットの帆かもしれない)のモニュメントの方が絵になった。
 道の駅「オホーツク紋別」はオホーツク流氷科学センター「GIZA」との併設のため、きっかり9時開館だったようなので、やはりゆっくり出発してよかった。


 この後、コムケ湖を目指して南下する。国道を避けて、紋別空港の南側を行く道道305号紋別丸瀬布線へ。多少のアップダウンがあるが、車の通りもほとんどなく非常に快適だった。

 国道238号に合流して、500m程で農業研究センターを左折するとコムケ湖への路だが、なんの案内表示もなかった。これでは、普通の人は見逃してしまうではないか。

 コムケ湖畔の道はコムケ湖とオホーツク海の間の狭い陸地を進む、両側を水辺に囲われた不思議なところ。ダートであるが、一部をのぞいてまあまあしまったダートなので、小径車のBD-1でもなんとか走れるが、しまださんのロードはちょっときつそうだった。
 コムケ湖は「ミニ釧路湿原」というような雰囲気で、写真ではとりきれない広々とした湿地帯だった。オホーツク海も遮るものがなく遠くまで見渡せる。ここらあたりは、何枚写真を撮っても撮りきれないほど絶景だった。天気がよければ、もっとよかったのだけれど。この区間5キロほどは、とても楽しかった。ロボさんは写真だけでなく、波の音も録音していた。


 コムケ湖畔の道を抜けて、久しぶりに舗装道路にでるとコムケ国際キャンプ場に着く。ここから旧紋別空港へ向かう。旧紋別空港は、コムケ湖とシブノツナイ湖に挟まれた場所にあり、1999年に現紋別空港が開港したため閉鎖された。今では自動車関係の走行試験場になっているようだ。

 このあと国道まで戻ってから、旧名寄本線の沼ノ上駅跡へ寄り道する。駅は小さな交通公園のようになっており、きれいに整備されていた。なんとなく路床もわかった。
 このとき、ついに雨が降り始めたため、駅跡近くの沼ノ上小学校の入口屋根の下で雨装備をする。小学校はまだ夏休み中だったが、室内には電気がともっていて、レースのカーテンの向こうに先生らしき姿が見えた。「怪しい者ではないですよー」と心の中でつぶやいた。


 雨装備をして走り出して、間もなく雨が本格的となる。とりあえず国道を進んで湧別か上湧別の町を目指すことにする。4キロほど走って、湧別と上湧別の分岐する交差点の農協前で一休み。
 雨は少し弱くなっていたが、湧別に行くのはあきらめ、「とりあえず、道の駅『かみゆうべつ温泉チューリップの湯』に行きましょう」ということになる。

 上湧別町に入ると、国道242号線になる。道の駅「かみゆうべつ温泉」は、名前は町名の「上湧別」だが、「中湧別」駅跡に建てられている。中湧別駅は私にとっては、非常に思い入れのある駅だった。北海道随一の車窓を誇っていた「湧網線(中湧別ー網走)」の起点駅だったからだ。湧網線に乗ったのは22年前の11月。「ああ、ここが、ずっとずっと来たかった中湧別駅なんだ」と、胸を震わせて降り立った駅だった。町の様子はなんとなく覚えていた。けれども、当時宿泊した駅前旅館はなくなってしまったようだ。


 さて、道の駅についたとたん、せっかく小ぶりになっていた雨がまた強くなる。ちょうど昼食時間なので、併設されたレストランで昼食にすることにする。私は「ビビンバラーメン」。タンタンメンにキムチとおこげを入れたラーメンで、なんとも不思議な味だった。おいしかったけれど。

 昼食を食べながら、今日はこの後、どうするかを検討する。雨が強い時はむやみに走るのは疲れるだけなので、本日の宿のある遠軽まで、素直に16キロほど走ることにする。ただし、宿のチェックインは15時なので、すぐに出発しては早すぎる。ということで、「チューリップの湯」に入ることにする。
 「チューリップの湯」は、露天風呂もある立派な日帰り温泉。真昼間なのでお客さんも少なく、ゆっくりできた。(なので、この日は、宿ではお風呂に入らなかった) 風呂上がりの後も、きれいな休憩所でのんびりと雨が小ぶりになるのを待つ。北海道を一か月かけて一周しているという北関東の大工さんと、ちょっとお話をする。

 一時間ほど休憩した後、交通記念館となっている中湧別駅跡を見学。「中湧別」の紺色の駅名標は、はっきりと覚えていた。さらに、中湧別駅から先、名寄本線の終点、湧別駅へ向かったときの車窓や、途中の仮乗降場「四号線」駅で見た美しい夕陽の思い出なども蘇り、しみじみとしてしまった。

 けれどもいつまでも「しみじみ」しているわけにもいかないので、旧中湧別駅跡を後に、遠軽をめざして走り始める。走り始めて間もなく、一面のたまねぎ畑が広がった。たまねぎはちょうど収穫時期で、丸々と太った根が地面に顔を出していた。初めて見る風景に感激、国道をはずれ、たまねぎ畑の中をつっきるように走った。
 たまねぎ畑の先には、上湧別町の一大観光地「チューリップ公園」があった。ここには、11年前、チューリップの季節に来たことがある。けれども今はシーズンオフだし、さらに雨なので、人の姿は全くない。風車の小屋が真ん中に立っているが、無人の公園の中では不気味にさえ見えた。

下は11年前の写真

 チューリップ公園をぐるっと周ってから国道に戻り、あとは黙々と走り続ける。遠軽町へ入ったあたりから、雨脚が強くなり、遠軽駅前も市街もろくに見ることもなく走り続け、15時過ぎにの本日の宿「若葉旅館」に到着した。

 昨日の「紋別セントラルホテル」に続き、「若葉旅館」に宿を決めたのも私たちだったのだが、決め手は「家庭的な旅館だな(しかも1泊2食で5200円と低料金)」と思ったことだった。思ったとおり、仕事での長期滞在者中心の宿で、おかみさんと息子さんが中心に経営していた。おかみさんがとても元気で親切な方で、カッパを玄関先に干させてもらったり、ボイラー室に濡れたシューズを置かせてもらったりと、とてもよい宿だった。
 ツーリング7日目だし、「足休めの日」と割り切って、この日の夕方は、高校野球を見たり、昼寝をしたりして、のんびりと過ごした。明日は帰宅する日で、しかも今回のツーリングで最も高い峠を越える予定なので、身軽にしておこうと、いらない荷物を送り返す準備もする。近くに生協の大きな店舗があって、段ボール箱を使いたい放題で助かった。
 夕食は家庭的な和食。普段、家で食べるような料理で、ほっとくつろげた。食後は、しまださん・ロボさんたちの部屋で、明日の走行ルートの検討。明日は別のルートを走ることになるので、それぞれの予定とか、今までの写真の交換などをして過ごした。この日も楽しい夜となった。