草津温泉-白根山-渋峠-湯田中-信州中野駅 60km
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2日目、朝風呂に入って、コンビニで買っておいた朝食を食べる。
待望のパノラマライン、志賀草津道路で渋峠を越えるには絶好の天気となった。
今日の標高は、草津温泉1,200m-白根山2,000m-渋峠2,200m-湯田中600m-中野400mと、かなりの高低差を走ることとなる。
8時前に出発。宿の前の国道で行けば最短ルートだが、近くに草津サイクリングロードがあることを知り、草津温泉街を通って遠回りをするルートにした。商店街から湯畑へ下り、西の河原公園入り口、草津ホテル、しゃくなげ通り、ベルツ通り、ペンション街を経由して草津サイクリングロードの入り口に到着。
「熊が出ます」の看板が立てられていたので念のため持ってきた熊鈴付けるが、普通に散歩している人と多くすれ違う。林の中、緩やかな上りの曲がりくねった道を進む。木の間から草津高原ユースがちらりと見えた。
サイクリングロード終点からわずかな距離で国道に出ると、目の前は草津国際スキー場。山の上に向かってリフトが何本も延びている。ここには十数年前にスキーで来たことがあるが、秋は初めてだ。
天狗山ゲートを過ぎ、森の中の九十九折りの道を上っていく。スキー場の中を上るようなもので、道路の上にスキーコースの橋が架かり、麓から100mほど上った道の横はリフト降り場。ここからは草津の街が見下ろせる。
連休で絶好の天気なので交通量はかなり多く、後ろから次々と追い越していく車に注意していく。しかし観光バスが来るとペースカーとなっていて、後ろに十数台の隊列が組まれてくる。その前後は車が空くのでありがたい。車が途絶えたときはひっそりとした森の中の道になる。
「キジが降ります 徐行してあげましょう」の標識や、どこが入口なのか分からない場所にあった「スキー場入口」のバス停を見ながらゆっくりと上っていく。寒さを心配していたが長袖を着ていると暑いくらいだ。
標高1,500mを越え、突然視界が開けると武具脱(もののぐ)の池、赤く染まった低木の中を観光客が散策している。
白根火山ロープウェイ山麓駅の駐車場へ、二人のローディと入れ違いになる。大自然に囲まれた中、これから上る先を眺めながらうきうきとした気分になる。
駐車場から出る直前にカップルの自転車が通過していった。道に戻るとすぐに注意標識が、「この先500メートル区間 硫化水素ガス発生地区につき道路上に立ち止まらないで通過してください。群馬県」とある。
そのガス発生地帯の殺生ヶ原へ。ごつごつとした黒い岩と白い灰のコントラスが目にまぶしい。殺生ヶ原の名にふさわしい殺伐とした景色が拡がり、あちこちから煙が出ていて強い硫黄臭が漂っている。
「駐停車厳禁 長野原警察署 群馬県」の標識が何本も立てられている。このあたりが一番危ないのか。ちょっとだけ停まって写真を撮ったが、あとはなるべく急いで通過した。母親から聞いた話では、だいぶ前に観光バスで通ったときには「窓を閉めて」と言われたそうだ。
尾根を周り込むと、また緑の輝く景色に変わり、緑一面の山の斜面には道がZ字に描かれている。さっきのカップルが上の道を走っていたので撮影すると手を振ってくれた。そして後ろからは昨日の小径車のお兄さんが迫ってきて、挨拶を交わして抜いていった。
ロープウェイの下を通り、もう一段上ると笹の平原に出て、目の前には白根山の白い山肌が間近に近づいている。標高1,800mのパーキングで休憩にする。上の方では車が渋滞しているのが見えて、車の人達は「あれだと1,2時間はかかるな」と言っていた。
それにしても景色が良いので、標高が気にならずにどんどんと上ってきた。白根山まであと2km位のところで渋滞の列の最後に追いつき、車の横を走り始める。黄色い車体の近鉄バスの横を通るのに狭くてちょっと苦労した。
渋滞のはじめは車を抜いたり抜かれたりだったが、次第に車はほとんど動かない状態となった。下を見ると渋滞の列がどんどんと伸びていて、さっき休憩した駐車場の下まで車がびっしりと埋まっていた。
反対側からはたまにしか車が来ないので、隙間がなくて車の横を通れないときは反対車線に出て走ることもあった。
右手の白い山肌が迫り道は平らとなる。11時ちょうどに白根山湯釜の駐車場に到着。カップルとお兄さんの小径車(MR-4Fだった)が止まっていた。
「白根山 上信越高原国定公園 標高2,160m」の標識の横から歩いて湯釜へ昇る。火口湖の色はなんとも言えない鮮やかな色をしている。
中学校の登山の時にここに来たことがあり、当時の写真を見てみると、湖まで降りていて半島のような小山にも人が昇っていた。しかし今ではロープで区切られた一角にしか入れないようになっている。
駐車場に戻ると、あの近鉄バスがようやく駐車場に着いたところだった。レストハウスで軽い昼食をとって出発。ここからは反対車線が渋滞になっている。
弓池をちょっと覗いてから、いったん下ると万座温泉方面分岐の三叉路。万座温泉に向かえば万座峠を越えて実家には近いが、今日は渋峠へ向かうので、こちらはいつか来るときのコースとしておこう。
上り返しの坂を上ると左側に信州側の景色が見えてくる。鋭い姿が際だつ笠岳(笠ヶ岳)、志賀高原、妙高山、そして北アルプスまで姿を見せていた。
右側は白根山麓のなだらかな斜面が奥深くにまで続いているが、奥の方は雲に隠れ始めていた。
山田峠を通過。地図で峠となっていたのでピークかと思っていたが、左右の谷を越える峠だったので、今走っている尾根道からすると一番低い地点になる。
その先では工事による片側交互通行となっていた。赤信号だったが誘導員に端を通って行ってと言われ、ゆっくりと端の方を行く。
行く先の横手山の一部に雲がかかり、道はその雲の中に続いていた。雲の中に入って行くと日本国道最高地点に到着。数台が止まれるパーキングになっていて、石碑が建てられている。オートバイ2台が記念撮影をしていたので、ちょっと待って自分たちも自転車を並べて撮影する。残念ながら雲は消えてくれなかった。
ここからは下り、渋峠に到着。渋峠ホテルで日本国道最高地点証明書を購入した。ここが群馬県と長野県の県境となり、多くの車、バイク、自転車が休憩している。ここはまだ曇っているが長野県側のすぐ先には日差しが指している。渋峠一帯だけが雲に隠れているようだ。
ここからは志賀高原の長いダウンヒルがはじまる。はじめは覆道が一部につけられている厳しい地形の道で「のぞき」へ。横手山ドライブインや横手山スカイレーターがあり、ここも賑わっている。
その後は下り坂、急カーブの続く道。標高が下がるにつれて針葉樹林の密度が高くなってくる。
14時、熊ノ湯スキー場に到着。標高はまだ1,700mもある。お昼が少なかったので熊の湯ホテル内のコンビニで菓子パンを買い、ちょっと小腹を満たす。
ここから先はスキー場銀座、右手奥には奥志賀高原が現れてくる。そして道沿いにはいくつもの池が点在しているが、紅葉が映える一沼はとてもきれいだった。
高原地帯が終わると森の中に入り湯田中に一気に降りていく。見所もなくなったのでしばらくノンストップで走っていると、シューを取り替えたばかりの後ブレーキから金属音がしてきた。ちょうど展望台らしきものが見えたので停まり調べてみると、リムが触れないほどに熱くなっていたので冷めるまで待つ。ちょうど標高1、000mの展望台からは湯田中の街を見下ろせる。
ループ橋を下るとまもなく森を抜けて街に出た。上林ゲートで志賀草津道路は終わりとなる。このまま進むと一気に中野まで行ってしまうので、国道から離れ、上林温泉、渋温泉、湯田中温泉と温泉街の中を通る。その後は湯田中駅から長野電鉄に沿って夜間瀬駅、夜間瀬川橋経由で16時すぎ信州中野駅に到着、輪行で須坂の実家へ向かった。
快晴、そして風もない絶好のサイクリング日和で、最高のルートを辿ることが出来た。思えば今年は年明けから天気には恵まれず、泣かされることが多かったが、ようやくその貸しを返してもらったような気分。時期と天気のタイミングが難しいが、次は須坂-万座-白根山-草津温泉の逆ルートにも行ってみたい。
最後に、坂を上っているときに相方に対して車から数多くの声援が寄せられたようでお礼申し上げます。私には一回もありませんでしたが(^^)