8/19(土)曇りときどき晴れ 65キロ
いよいよ最終日。留寿都まで羊蹄山をくるっと回って走り、ルスツリゾートから新千歳空港まで、バスで輪行予定である。
昨晩のTVで、むかわ町の大雨が報道されていた。数日前に通った沙流川が氾濫寸前の状態になっていてびっくり仰天。
けれどもニセコ昆布温泉はうす曇で、太陽も時折顔をのぞかせている。このあたりは昨晩のうちに大雨が通り過ぎたようだ。「北海道は記録的大雨」とTVはいうが、北海道は広いのだ。
ホテル前の甘露水を空いたペットボトルにつめこんで、今日も8時前に出発。ラストラン、である。
昨日走った道を少し戻ってから別荘地を横切り、町営バスが通る道を走る。ここで、MTBで疾走する外人とすれ違った。
道道343号「蘭越ニセコ倶知安線」に出て、ニセコ東山方面へまずは倶知安へと向かう。
昨晩泊まった昆布温泉付近はペンションや別荘が点在する静かなところだったが、東山付近は、豪華なスキーリゾートホテルがあり、セイコーマートや飲食店もあるにぎやかなところだ。「このあたりがイメージしていたニセコだな」と思いながら進むと、倶知安駅に到着した。
倶知安駅では、長万部行き列車が出発するところで、小樽行きが停車中だった。かつては交通の要所だった倶知安も、すっかりローカルな小さな駅である。前述した胆振線の終着駅でもあったのだが、伊達紋別駅同様、胆振線が存在していたことなど、どこにも感じられなかった。胆振線の代行バス(伊達紋別駅への直通)は、一日にたったの三本。途中までのバスはあるので、伊達紋別-倶知安通しで乗るニーズはないのだろう。
ちなみにこの地域を走るバスは「道南バス」。深い緑色がきれいな車体のバスである。この道南バス、南は静内町あたりからずっと路線を持っている。今回見た路線バスのほとんどは、道南バスだった。ものすごく路線網が広い。
羊蹄山のふもと、京極町への直線道路、道道478号「京極倶知安線」を走る。羊蹄山は雲の中でなかなか姿を現してくれないのが残念だが、直線道路は気持ちがいい。道路のわきに旧客車を利用した養鶏場があってびっくり。シートや窓にニワトリがへばりつき、卵を産んでいる。客車を利用した養鶏は初めて見た。
すぐそばを清流・尻別川が流れていて、ラフティングボートをたくさん積んだ軽トラックが何台も追い越していく。軽トラックの後ろにはワゴン車が続き、ラフティングの格好をした人が何人も乗っている。
京極町との町境近くで、尻別川から歓声が聞こえたので、川にかかる橋(中野橋)の上からのぞいたところ、ちょうど、ラフティングを楽しむ人たちが見えた。ラフティングの出発点は、この橋付近だった。「これがニセコで有名なラフティングだ」と、しばらく見物していた。
京極PAの手前、急坂を下ったところで、朝すれちがったMTBの外人さんと、再度すれちがった。外人さんは、羊蹄山のまわりをぐるっと(そして、私たちの倍ぐらいのスピードで)走っているらしい。向こうもこちらに気がついて、ニコニコとあいさつをしてくれた。
京極市街には「駅前」の雰囲気が残っていて、(旧)駅前旅館もあった。けれども、胆振線の跡は何も残っていない。町のはずれに日帰り温泉「京極温泉」があって、この温泉のすぐそばの橋からは、きれいな姿の羊蹄山を眺めることが出来た。温泉からも羊蹄山を眺めることができて、さぞかし気持ちがいいことだろう。この温泉の先で、国道276号と合流。
徐々に羊蹄山が遠くなり、となりの喜茂別町へ入る。ここにもかつて胆振線が通っていたが、駅前の雰囲気すらどこに残っていなくて、鉄道が通っていた感じは全くない。ほぼ全部の商店のシャッターが下りた商店街があったが、あのあたりに駅があったのだろうか。喜茂別駅は町外れにあって不便だったと聞いているが。
ちょうど昼時なので、食事にしようと思ったが、ろくに飲食店もなかった。道端の農作物直営店(こういう店は道路沿いにたくさんあった)で、ゆできびを一本買って食べた。甘くてみずみずしくておいしかった。
留寿都まで出てから昼食にすることにして、市街から国道276号に戻る。国道沿いにドライブインが数軒あって「食事をするなら国道沿い」の法則を、またもうっかり忘れてしまったことに気づく。鉄道での旅が長かったため、「食事をするなら駅前」という考え方が、どうしても頭から離れない。ドライブインにはバイクが何台も止まっていたが、国道230号に入り、とりあえず留寿都へ走り続ける。
喜茂別から留寿都までは、120メートル上った。車の通りが激しくあまり快適ではなかったが、尻別岳が美しく見えた。留寿都の町の最高地点にルスツリゾートがあり、今日の15時にここから千歳空港までバスに乗って帰路につく。まだバスの時間まで2時間以上あるので、昼食をとって留寿都の街中をはしることにする。
昨日、道の駅でうどんを食べたので、今日は蕎麦屋に入った。国道からそれたとこにある鄙びた蕎麦屋で、おばあさんが一人、店先で高校野球「駒大苫小牧対智弁和歌山戦」を食い入るように見ていた。(TV観戦を中断させてしまい、すみませんでした) おばあさんが出してくれた蕎麦は、乱切りの素朴な田舎蕎麦で、なぜか留寿都蕎麦ではなく幌加内蕎麦だった。食べているうちに駒大苫小牧が勝って、決勝進出が決定。「駒大苫小牧が三連覇する可能性は、50%程度といわれてたんだよぉ」と、おばあさんはとても嬉しそうだった。
近くの製麺所で「でんぷんうどん」をお土産に買って(要冷蔵だったが、新千歳空港まではそのまま、新千歳空港で保冷剤に入れて、トータル約10時間持ち歩いたが、傷まずにおいしく食べられた)、そのあと、ちょっと山の方へ入ると、サイクリングロードを見つけた。「リゾート」というぐらいなので、サイクリングもスポーツの一つとして設定されているわけだ。サイクリングロードの終点は、道の駅の裏手であった。
バスの出発まで1時間を切ったので、ルスツリゾートホテルの入口に戻り、予約しておいたバスのキップを購入。あとは、バスが来るのを待つだけだ。ちなみにこのルスツリゾートホテル、半屋内の遊園地が併設されており、ホテルの入口と遊園地の入口が同じであった。遊園地には、次から次へと人が訪れていた。おととい泊まった「洞爺サンパレス」の屋内プールとセットで遊べるようにもなっていた。
ルスツリゾートから新千歳空港までは直通で一時間半だ。支笏湖畔を通って空港に出る。ここからは自分が車の側になって、車道を走る自転車を見る番になる。支笏湖まで、自転車の団体を2つ見た。一つは旧大滝村の道の駅付近。こちらは何かの大会なのか、何十台もの大所帯だった。もう一つは大学の自転車部らしい統制の取れた走りをする四人組。
支笏湖畔の美笛までの道は、560メートルの美笛峠を越えなくてはならないし、歩道もなく、トンネルは工事中で危なく見えた。車からすると、車道の端を走っている自転車は「危険な存在」に思える。自分たちもあんなふうに見えていたのかあ、と思ってしまう。
支笏湖畔には快適なサイクリングロードがある。3年前には、札幌(滝野上野幌自転車道)→支笏湖(樽前国道に並行)→苫小牧とサイクリングロードを走っている。千歳に向けてのサイクリングロード「支笏湖公園自転車道」もあったが、走っている人の姿は見えなかった。
無事に新千歳空港に到着。新空港になってからは、初めて訪れた。実に巨大な空港で、ショッピングモールのような感じだ。早々にチェックインし、お土産を買って、レストランで食事をして、帰路についた。
今回は、トータル622キロ走った。私としては「これぐらいが限界、充分満足、そろそろ家に帰らなきゃなあ」という気分だった。今年は、骨折中(←途中からすっかり忘れてた)なのと、事前のトレーニングが思い切り欠けていたのと、後半天気を気にしながらのツーリングだったので、こういう気分になってしまったが、来年は、もうちょっと走行距離を延ばせたら、と思う。ついでに、帰ってきた今となっては「もっと走りたかったー!」などと思っている。
道東や道北に比べると、今回のルートはライダーもチャリダーも少なかったが、挨拶してくださった皆様に感謝。チャリダーにヘルメットをかぶっている人があまりいなかったのが、ちょっと気になったかな。本州に比べれば車との接触事故は少なそうだけれど、転倒事故の確率は変わらないだろうから、自爆骨折家族のいる私としては、やっぱりかぶったほうがいいんじゃないかと思うのであった。