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06/08/15 北海道ツーリング4日目

8/15(火)曇りときどき晴
今日の予定は、新冠から日高本線沿いに苫小牧まで。日高本線の駅を一つ一つ確認しながらのツーリングである。
昨晩の天気予報どおり、朝起きると、新冠の空は雲に覆われていた。朝風呂に入ってから朝食をとって、7時45分に、弱い追い風の中、走り始める。


まずは新冠の次の駅、節婦駅へ。ここはまだ新冠町である。国道はバイパスで山側を通っているため、新冠市街に比べて集落はとても静かで、貨車改造型の無人駅舎は花で飾られていた。
ここから先、海岸線には断崖絶壁の大岩がいくつか続くが、鉄道は岩を迂回するように波打ち際を走る。けれども道路は、岩の上を越える。なので、ところどころ、数十メートルのアップダウンがある。

次の大狩部駅でちょうど列車が来たが、列車は駅を通過した。海ぎりぎりに建てられた、さびしげな駅である。かつて、サスペンスドラマの舞台になったようで、撮影記念碑が立てられていた。
大狩部駅わきから丘を上るとトド岩高原となっており、牧場が広がっていた。(大狩部駅そばにあるトド岩から名前をとったと思われる) はるか眼下に、日高本線の線路が見えた。このころから追い風が強くなり、雲も切れ始める。
高原から下って厚賀橋を渡り日高町(今年3月に門別町と合併)に入る。節婦駅と同じように国道から左に入る道を行くと厚賀駅である。

続く清畠駅、豊郷駅は、海が間近の駅である。豊郷駅は無人ながら、花壇がとても美しかった。近所の人がきちんと手入れをしているのだろう。「絵になる」駅だった。駅のまん前の家の庭には小型犬が4匹飼われていて、私たちが写真を撮っている間、キャンキャンワンワン、ものすごい声でほえ続けていた。

丘をひとつ越えて日高門別へ。大きな集落だが町はひっそりとして、人の姿はほとんどない。けれども家々からは、高校野球の中継が聞こえてくる。ちょうど、第一試合、駒大苫小牧対青森山田の試合をやっていたのだ。道路からひょいとのぞいた家の居間では、家族がテレビの前にねそべって野球を見ていた。
新冠から日高門別まで、やはり国道にはほとんど歩道もなく路肩も狭かった。けれども門別からは歩道が現れた。市街の少し先に日帰り温泉「門別温泉とねっこの湯」があり、朝にもかかわらずすでにたくさんの車が駐車していた。温泉がてら、高校野球を見ていたのかもしれない。
富川駅前で沙流川の長い橋をわたる。数日後、北海道が「記録的大雨」にみまわれたときに、全国に映像が流れた橋と川はここである。このときはまだ、そんな大雨は想像もできなかったが。


沙流川を渡った先の交差点を右折すると平取、日高方面の国道237号線であるが、ここは左折し富川駅へ。富川駅は町外れの住宅街にあった。日高ケンタッキーファームへの送迎の案内があった。駅からさらに海側へ向い、急坂を富川高校まで上ると、車のほとんどない快適な直線道路が続き、さらにここの区間では雲も切れ、青空も広がった。
馬牧場とともに、牛牧場やとうもろこし畑、大根畑が多くなってくる。このあたりの馬牧場は、とても大きく立派に見えた。ミニ競馬場のような施設を持っている牧場もあった。
民家のほとんどない農道に、ぽつんとバス停があった。「こんなところにバスが走っているのか?」と疑問に思い、近づいてみると、週に一回、金曜日の午前中に一本だけバスが来ることになっていた。行き先は「門別温泉とねっこの湯」。つまり、自家用車を運転できないお年寄りが、温泉に遊びに行くためのバスと思われる。こういうサービスはとてもいいと思った。

鵡川を渡る鵡川大橋で国道に合流。海岸沿いの汐見駅には行けなかったし、日高町とむかわ町(今年3月に鵡川町と穂別町が合併)の町境もどこだかわからなかった。
むかわ町の市街に入り、道の駅「むかわ四季の館」に寄った。このころになるとすっかりよい天気になっていたが、駐車場に居合わせたライダーたちの話によると「苫小牧は小雨だった」とのこと。数十キロの距離で、天気は全然違うらしい。
昼食は少し早めに、国道沿いの蕎麦屋「
そば処大みや
」でとった。道の駅にチラシがおかれているので、観光客がよく訪れるようで(私たちもその一人)、店は繁盛していた。東京価格並みで高かったがおいしかった。
道の駅のあとは、鵡川駅へ。バスターミナルを兼ねたきれいな駅である。かつて、鵡川駅からは日高町まで富内線がとおっていたが、その面影はまったくなかった。富内線は1986年11月1日廃止で、私は乗ったことがない。
鵡川駅前のセイコーマートで、自転車二人組とすれちがった。向かい風がものすごくきつく「えげつない風」だったそうで、「そちらは追い風でいいですね」といわれた。この二人組、富良野を目指しているとのこと、今日は旧富内線ルートで日高町をめざしていったと思われる。その後、富良野付近は大雨になったはずだが、大丈夫だっただろうか。
鵡川から先は、国道235号に戻る。原野及び工場地帯の中を国道はまーっすぐである。車の多くは日高自動車道に移ったのか交通量もぐんと減り、路肩も十分の広さがある。

浜田浦駅は、まわりに民家も牧場も工場もないところにある駅。コンクリート製の待合室は駅寝の人が使っていそうだが、ここから列車に乗る人はいるのだろうか?
国道235号を右折し浜厚真駅へ。ここは苫小牧東港の近く(約2キロ)で、貨車改造の無人駅にはフェリーターミナルへの道順がはってあったが、はたして鉄道を利用してフェリーターミナルへ行く人がいるかどうか?

その苫小牧東港フェリーターミナルに寄った。出航は夜なのでターミナルは閑散としており、乗船する車もほとんど来ていない。フェリーの行き先は、秋田、新潟及び敦賀である。この頃から、太陽が雲に隠れ、もわーんとした天候になる。苫小牧は朝方小雨が降っていたというぐらいだから、仕方ないか。



ルートにしていた西へ向かう道が通行止めだったが、踏切の北側に新しい道ができていたので日高本線に沿って西へ。このあたりは広大な勇払原野で、巨大な苫東厚真火力発電所がある。原野の中の道路なので、ここもまたまーっすぐだ。道の両側には原野しかないさびしい道路だが、タンクローリーなど、発電所や港関係の仕事用の車は結構走っている。
勇払原野は原生花園状態。海辺の湿地帯の原野なので、有名な網走の小清水原生花園と同じ状況だと思う。観光地化された小清水原生花園は年々花が減ってきているので、はっきりいって、勇払原野の方がきれいである。勇払原野がぜんぜん有名にならないのは、トラックがバンバン走っていて危険だからか、火力発電所やコンビナートが見えて、雰囲気がよくないからか。
原野を抜けると勇払の町に出た。原野にビジネスホテルの宣伝の立看板がいくつもあったが、ここには長期滞在ビジネス客用の旅館がとても多い。「本場コシヒカリの食事つき」など、つい惹かれそうな宣伝文句もあって、各旅館とも客引きに熱心だ。勇払のセイコーマートには、またも「門別温泉とねっこの湯」へのバスの案内の広告がはられていた。ずいぶん広範囲から、お客さんを集めているのだ。

勇払駅舎は廃屋だった。待合室はあるが、かつては駅員が寝泊りできたであろう建物には、窓にベニヤ板が張られ、お化け屋敷のようだ。駅前に製紙工場があるし、団地もあるのに、利用客は少ないのだろうか。駅前のバス停は「学生専用」となっていたので、高校生だけが使っているのだろうか。しかし、こんな駅舎を見てしまっては、列車に乗る気力がうせてしまうではないか。
苫小牧港が近づくと、道路はぐっと広くなる。今日は苫小牧泊の予定で、勇払駅の次、沼ノ端駅から左折すればすぐに市街であるが、まだ15時前だ。千歳線の線路を越えて右折、ウトナイ湖へ行くことにする。
札幌へ続く国道36号(室蘭街道)は二車線道路で、非常にたくさんの車が走っている。北海道でひっきりなしに車が走っている姿を見るのはめずらしいので「ほほぅ」と思う。そんな国道脇に、ウトナイ湖はひっそりと存在する。
ウトナイ湖は、ラムサール条約登録湿地なので世界的に有名であるはずなのだが、訪れる人は少ない。さびれた感じで、かつてレストランだったところは無料休憩所になっていたし、湖畔のYHは閉鎖されていた。さらにネイチャーセンターは、週に2回お休みで、本日火曜日は定休日だった。
湖面では白鳥が三羽、泳いでいた。なぜ北国へ帰らなかったのだろう。この日は30度近くまで気温が上がりとても暑かったのだが、白鳥は暑くないのだろうか。

苫小牧市街へ戻る前に、駒大苫小牧高校に寄る。第一試合はとっくに終わっていて、学校内はひっそりとしていたが、見学の車が何台もおとずれていた。校舎及び校庭はまるで大学のように広く立派だった。学校のすぐそばには、野球部の宿舎もあった。
ちなみに、今日の第一試合、駒大苫小牧は辛くも勝ってベスト8を決めていた。近くのセイコーマートには、駒大苫小牧の勝利を伝える特報がはられていた。

今日の宿は苫小牧駅近くの「
ホテル杉田
」。長期滞在ビジネス客や合宿の学生の宿である。トータル95キロ走って、16時すぎには到着した。
神奈川の武相高校アイスホッケー部が合宿していたため、ホテルはほぼ満室。低料金にもかかわらず、人工温泉つきだし、夕食も朝食もおいしい家庭料理だし(長期の旅行の場合、普通の家庭料理が食べたくなるものです)、部屋は清潔でユニットバスもついており、この宿もおすすめだ。男湯と女湯の差が激しいのが唯一、残念。女湯は狭かった……。

【日高本線データ】
苫小牧-勇払-浜厚真-浜田浦-鵡川-汐見-富川-日高門別-豊郷-清畠-厚賀-大狩部-節婦-新冠-静内-東静内-春立-日高東別-日高三石-蓬栄-本桐-荻伏-絵笛-浦河-東町-日高幌別-鵜苫-西様似-様似(総営業キロ 146.5KM 現役です)

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