05/08/15 道北ツーリング3日目

2018年3月21日サイクリング

道北ツーリング3日目
8/15(月)晴れ ときどき曇り 島の北東は曇り 南西は快晴 74km
 いよいよ、離島へ渡る日である。礼文島行きの始発船は6時20分。利尻島行きの船は6時30分。「クィーン宗谷」だ。
 始発の利尻島行きの船にどうしても乗りたかったので、予約できる一等ラウンジを取っていた私たちだが、自転車の積み込みに不安があったため、5時には起床し、5時20分過ぎにフェリーターミナルへ。けれども、窓口はまだ開いていなかった。5時半に開くとのことだが、すでにターミナルはたくさんの人であふれていた。私らが並んだ列の一番前は、J社のツアー添乗員。船の混雑を懸念して、2等から1等へ変更するらしい。

5時35分頃、同じ旅行会社のツアー添乗員が、ターミナルに駆け込んでくるのが見えた。「きゃー、遅れたわっ! きゃーっ、混んでるぅぅぅ」寝坊したのだろう、その慌てぶりに、思わず「にやり」としてしまう。

 自転車もそのまま積み込めることになり、朝ごはんを調達に。フェリーターミナルでも弁当屋がでていたが、かにめし弁当は早々に売り切れ、高いおにぎりしかなかったので、セイコーマートへ行くことにする。

 6時10分、自転車をあずけて船内に。すでに二等船室は超満員状態。「混んでいるので横にならないで下さい」のアナウンスが流れている。お金は倍かかるけれど、一等にしてよかった、と思う。ちなみに、一等はラウンジで椅子席。すいているならば、二等のようにごろごろできる床席の方がいいのだが、横になれない二等船室は嫌だな……


早朝の稚内港


フェリーに載せる


一等ラウンジ内

 稚内港を抜け、ノシャップ岬を過ぎると、船は大きく揺れ始める。「おお、北の果ての海は違うな、荒れるんだな」などと思っていたが、実はこの日は風がとても強く、非常にゆれていたのであった。右に左に大きく傾く船によろめきながらも、デッキで近づいてくる利尻富士に見とれた。船は予定通り、8時10分に利尻島鴛泊(おしどまり)港に到着した。


右に傾いたとき


左に傾いたとき


利尻島近づく


サイクリングロードの橋

 まず、ターミナル前の土産物屋で熊鈴を買った。北海道の僻地を自転車で走るとき(しかも国立公園の場合)は、やはり熊が怖い。けれども、利尻にも礼文には熊はいないのですね。このことを知ったのは、ずっと後のことであった……

 ターミナルから一キロほど離れた、今日の宿である
民宿・お宿マルゼン
に立ち寄る。いらない荷物を預けて、8時40分に出発。今日は、鴛泊港から時計回りに、利尻島をぐるっと一周する予定。約70キロだ。まずは、鴛泊の街から坂を上り、利尻島の半分を占める「利尻富士町」につけられたサイクリングロードへ、「利尻富士の湯」の横から入る。今日の夕方は、この温泉に入る予定だ。

 このサイクリングロード、「どうしてこんな立派な道を?」と疑問に思うぐらい快適な道である。山の尾根と尾根を繋ぐ高架橋(船からも見える)は、車のためではなく、自転車と人のためだけに作られているのだから。サイクリングロードの途中からは、有名な観光地、姫沼へも行ける。この日は快晴で、海の向こうはよい天気なのに、利尻島のまわりにだけ、雲が出ている。利尻島は島とはいえ、利尻富士のそびえる要は「山」なのだと実感。曇天に緑色に沈んだ姫沼を一周する。深緑色は、それはそれで神秘的だったのだが。


その橋1


その橋2


姫沼

 サイクリングロードが終わり、海辺へと降りていくと、野塚パーキングエリアとぶつかった。このあたりから、利尻富士にかかっていた雲が切れてきて快晴に。のちに気づくが、今日は島の北東にだけ、雲がかかっていたようだ。晴れてきたおかげで、対岸の、昨日走った道道106号がよく見える。今日だったならば、道道106号からも利尻富士がよく見え、最高だっただろうなぁと、輝く海原をうらめしく見つめるのであった。

鬼脇小中学校の校庭から、はっきりと姿を現した利尻富士を撮影。このあたりの海岸には、溶岩のなごりのような奇岩が目立った。追い風にのってスイスイ走るが、今日の行程は「島を一周」いつかやがて、この快適な追い風は、「向かい風」に変わるはず。そのときが恐怖であるが、まずは気持ちよく走り続ける。


利尻島一般道へ


晴れてくる

沼浦展望台では、オタドマリ沼と、雲ひとつかからない利尻富士の絶景を眺めることができて大感激。さらに、オタドマリ沼も絶景だった。ただし、沼では台風並みにものすごい風が吹いていて、「今後どうなるのだろう」と不安をつのらせた。

ここからしばらく集落から離れるので、オタドマリ沼のほとりにある売店で昼食をとった。利尻島で有名なウニ丼レストランが、オタドマリ沼に支店を出している。というわけで、ウニ丼を頼むことに。ただし、一食3000円もする。その価値があるぐらいすばらしいどんぶりなのだけれど、二人ともウニ丼を食べるのは贅沢すぎるので、私はウニ寿司3巻(1000円)で我慢した。食後には、熊笹ソフトクリームに万年雪ソフトクリーム。強風の中で食べようとしたら、クリームが風に飛ばされ流れていってしまった……


オタドマリ沼

 利尻富士町から利尻町に入り、仙法師崎へ。仙法師御崎公園では、やや風も弱くなっていた。「ツーリングマップル」によると「あざらしがいる」とのこと。てっきり天然のあざらしが生息しているのかと思ったら、単に生簀にアザラシが飼われているだけだった。なーんだー。


利尻富士町から


利尻町へ


あざらしの生簀

 次の集落は久連。「熊岩」が観光スポットだ。奇岩は確かに熊が寝そべっているように見えた。ここらあたりの海の透明度は抜群。昆布がうねうねと波にうねる様子が手に取るように見える。利尻富士が美しく見えた九連小学校の校庭。けれども小学校は、昭和62年に開校85年にして閉校していた。数日前に稚内で見た廃校の姿を重なって、悲しくなってしまった。

 その後、礼文島へのフェリーターミナルのある沓形に近づくにつれて、徐々に向かい風になっていき、走行速度も落ちてくる。沓形岬あたりが、最も向かい風が強く、スピードメーターはともすれば時速10キロを切ってしまう。沓形にある町営利尻ホテルには、足湯が設置されていた。お湯に足をつけているうちに元気を取り戻す。


向かい風きつくなる


沓形の足湯

 向かい風が強くなるとともに、快晴だった空が、また曇り始めた。礼文島が見えてくるが、雲のためにかすんで見える。また、波はかなり荒れていた。

 山手にサイクリングロードが復活したが、しばらくは海岸沿いの平らな道道を走ろうとサイクリングロードは敬遠。途中、「ミルピス」という手作り乳酸飲料(カルピスみたいなもの)の店に寄る。濃縮「ミルピス」を水で割って牛乳瓶に入れたもの。これが一瓶350円もしたのでビックリ。おいしかったのだけれど、350円は強気過ぎないか? どんなに大目に見ても、せいぜい200円だと思ったのだが……

 利尻町から利尻富士町に戻り、サイクリングロードと道道が交差したところで、道道よりも海外沿いを走るサイクリングロードへ入る。このサイクリングロード、かもめの生息地のど真ん中つけられている。自転車道はフンで真っ白、上空はかもめだらけ、道にもわんさとかもめが止まっていて、走ってくる自転車がいかにも迷惑そうだった。サイクリングロードのルートを間違えて、生息地に道をつけてしまったのだろうか?


おなじみのミルピス


利尻島北部へ

 このサイクリングロード付近から、まともに正面から吹き付けてくる風がそれてきて、時速も15キロぐらいにまでに回復。鴛泊の町が近づいてきて、サイクリングロードをママチャリレンタサイクルで走る人の姿もちらほら見え始める。そして、16時過ぎ、ゴールの「利尻富士の湯」に到着。


利尻富士温泉

 富士の湯には、たくさんの自転車が止まっていた。すぐ近くのキャンプ場に泊まっている人たちだろう。おととい、稚内空港で見た銀色のBD-1の姿もあり、また「にやり」としてしまう。富士の湯は(少なくとも女湯は)大混雑。洗い場は順番待ちしなくてはならないぐらい。登山客や旅行客がメインのようだ。露天風呂は、お盆期間限定で「昆布風呂」(風呂の中にながーい昆布が浮かべられている)だった。

 ゆったりとお風呂を楽しみ、17時半に宿にもどった。今日の夕食は、民宿の系列のフェリーターミナルの食堂で。うに・いくら・たこ・ほたてなどの刺身中心で、まるで飲み屋のつまみのよう。中ジョッキを頼んで、満足な夕食となった。


夜の鴛泊フェリーターミナル